数と式

【現役高校数学教師が解説】文字式の表し方【数Ⅰ】【数と式】

こんにちは!

このサイトを運営しているサイエンスと申します。

今回は「文字式の表し方」について解説していきたいと思います。

こんな方にオススメ!

中学生・高校1年生

高校数学を1から勉強しようと考えている人

この記事は、上記のような方向けに作成していますが、

文字式なんて完璧だぜ・・・!

と思っている人も、再確認のつもりで一度見ておくことをオススメします!

そもそも、文字式って何?

早速、文字式の表し方について解説したいところですが、まずは「文字式とは何か?」という点を解決しておきたいと思います。

文字式とは、

文字が使われた式

のことです。まさしく、読んで字のごとくですね(笑)

ここでいう「文字」とは、

 \(a,b,c,x,y\) などのアルファベット
 ②\(α\)(アルファ),\(β\)(ベータ),\(γ\)(ガンマ),\(π\)(パイ) などのギリシャ文字

などを指します。

大学レベルになると、自分で文字を作ることもありますが、ひとまずは上記の2つを覚えてもらえれば十分です。

文字式の表し方のルール

それでは、本題である「文字式の表し方」について解説します。

今回はルールを6つ紹介しますが、①~④は基本的に必須⑤と⑥は推奨例外あるのものになります。

ポイント!

①かけ算記号の”×”は省く
(例)\(a×b\) → \(ab\)
   \(x×y×z\) → \(xyz\)

②数字は文字の前に書く
(例)\(2×a\) → \(2a\)
   \(x×5\) → \(5x\)

③文字の前の数字が”1”の場合は省略する
(例)\(1×a\) → \(1a\) → \(a\)
   \(x×(-1)\) → \(-1x\) → \(-x\)

④同じ文字のかけ算は累乗(2乗,3乗,・・・)の形にする
(例)\(a×a\) → \(a^2\)
   \(x×x×x×y×y\) → \(x^3y^2\)

⑤割り算は分数にする
(例)\(a÷b\) → \(\displaystyle \frac{a}{b}\)
   \(x÷(-3)\) → \(\displaystyle \frac{x}{-3}\) → \(- \displaystyle \frac{x}{3}\)

⑥文字はアルファベット順に書く
(例)\(b×a\) → \(ab\)
   \(z×y×x\) → \(xyz\)

①~④は「当たり前な事」として扱われるので、特別な理由がない限りはそれらのルールに従う必要があります。

一方、⑤と⑥は状況によっては従う必要がないこともあります。

まず、⑤に関しては、分数ではなく小数で表したい時は小数でもOKです。
 (例)\(x÷2\) → \(0.5x\)

文字を含まない場合も含め、見やすい・通分や約分などの計算が行いやすいので分数の形にするのが一般的ですが、具体的な値(25.7gなど)を知りたい工業系などの場合は、あえて小数の形にするケースがあるそうです。

つまり、工業高校では数学と工業系科目で表記が違う可能性がありますので、学習の際は注意しておきましょう。

また、⑥に関しては、公式の構造を分かりやすくする場合などに例外を適用することがあります。

例えば、数Ⅰの三角比で「余弦定理」という公式が出てきますが、教科書等には以下の順番で書かれていることが多いです。

\(a^2\)\(=\) \(b^2\)\(+\)\(c^2\)\(-2\)\(b\)\(c\)\(cosA\)
\(b^2\)\(=\) \(c^2\)\(+\)\(a^2\)\(-2\)\(c\)\(a\)\(cosB\)
\(c^2\)\(=\) \(a^2\)\(+\)\(b^2\)\(-2\)\(a\)\(b\)\(cosC\)

※一番後ろの「cosA」「cosB」「cosC」は現段階では説明できないので、通常の文字とは違う1つの単語だと思ってください。

\(a\),\(b\),\(c\)をそれぞれ色分けしていますが、縦で見ると

\(a\) → \(b\) → \(c\) → \(a\) → \(b\) → ・・・

の順番でループしており、公式の構造が分かりやすくなっています。

このように、ループするような順番で文字を書くことを「輪環(りんかん)の順」といいます。

数学では、規則性や式の美しさという点も重視されるので、輪環の順はそれに一役買っているというわけです。

なお、⑤と⑥の例外が出てくる場面はそんなに多くないので、文字式をマスターするまでは①~⑥のルールを忠実に守って書くのがオススメです。

補足【応用編】

ここからは、2点補足をしていきたいと思います。

1点目は、ルール③「文字の前の数字が”1”の場合は省略」の+αについてです。

今回は「文字の前が”1”」の場合でしたが、実はそれ以外にも数字を省略するケースがあります。簡単な例だと、次の2つです。

(ア) \(x^1\) → \(x\)

(イ)\(\sqrt[x]{3}\) で \(x=2\) → \(\sqrt{3}\)

まず、(ア)に関しては、ルール③+ルール④のような考え方です。

\(x^2\) や \(x^3\) のように\(x\) が複数かけられているのとは違い、\(x^1\)(\(x\) の1乗)は \(x\) が1つしかないので、わざわざ”1”を書く必要はないということです。

続いて、(イ)の累乗根(るいじょうこん)についてです。

√(ルート・平方根)は中3で学習しますが、その上位概念である累乗根は数Ⅱ(高2程度)で学習します。

例えば、\(\sqrt[5]{3}\) (3の5乗根と読みます)は「5乗したら3になる数」という意味、つまり√ の左上の小さい数字が「〇乗したら」という意味になります。

一方、\(\sqrt{3}\) は「2乗したら3になる数」という意味です。

勘の良い人ならお気づきだと思いますが、そもそも √ という記号は「2乗したら〇になる数」を整数などで表せないから使うのであって、1乗(=そのまま)の場合には使う必要はありませんよね。

そうなると、”2”がスタート(基準)の数になるので、\(\sqrt{3}\) の左上の2は省略することになります。

2点目は、\(π\)などの特定の文字がある場合です。

例えば、円周を求める公式は2×(半径\(=r\))×(円周率\(=π\))ですが、文字を使って表すと\(2πr\) になります。

なぜその順番に書くかというと、\(π\)が円周率=3.14・・・という決まった数を表す、言い換えると\(π\)は文字でも数でもある存在ということです。

そのため、数である”2”と文字である”\(r\)”の間に書くのです。

まとめ

お疲れ様でした!

「文字式の表し方」について理解することはできましたか?

それでは、今回のまとめです。

今回のポイント
①かけ算記号の”×”は省く
②数字は文字の前に書く
③文字の前の数字が”1”の場合は省略する
④同じ文字のかけ算は累乗(2乗,3乗,・・・)の形にする
⑤割り算は分数にする
⑥文字はアルファベット順に書く
今回覚えたい用語
輪環の順:ループするような順番で文字を書くこと

以上で、「文字式の表し方」についての解説を終わります。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!